薬剤師の転職をブログで解説

薬剤師の転職体験ブログ

調剤薬局の仕事に飽きたときの転職先

はじめに
釈迦に説法ですが日本で薬剤師として働くには、薬科大学や大学の薬学部で6年間の教育課程修了し薬剤師国家試験の受験資格を得て、これに合格して厚生労働省が定める薬剤師名簿への登録をすることが必要です。
薬科大学や大学薬学部では現在の教育カリキュラムは6年間ですが、筆者(60代です)が学んだの頃の教育課程のカリキュラムでは4年間でした。教育の内容も当時と比較する臨床的な教育内容が充実しているなど大きく変わってきました。

薬剤師の仕事について
それでは薬剤師の仕事はどの様な種類があるのでしょうか?特に調剤薬局で経験が長いと薬剤師の仕事と言えば医師の処方せんに基づく調剤業務や服薬指導、在庫管理、在宅業務等が中心だと考える人が多いと思いますが、それだけではなく実に多くの仕事があります。
確かに多くの仕事は、医師の処方せんに基づき医薬品を患者さんに調剤、供給し、医薬品が適正使用できるように患者さんに服薬指導などを行い専門性を生かすこと、さらには市販薬についても適正使用や適正に供給するために薬剤師の専門性を生かすことです。
しかし、薬剤師法第1条に「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによつて、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」と記載されています。この法律の条文からも薬剤師の仕事は多くの種類が存在することが理解できますね。例えば製薬企業で医薬品が厚労省に承認されて販売に至る以前の開発や承認、製造販売や安定供給、販売後の情報収集や安全性情報の提供など、さらに医薬品卸業の医薬品の管理、学校薬剤等、国民の健康な生活を確保する等多くの仕事もあります。
薬剤師の具体的な仕事につきまして記載します。

調剤薬局
現在、こちらに勤務する薬剤師は薬剤師の中で最も多く、仕事も上述したように調剤業務中心で恒常化した感が強いと思う方もいるでしょう。しかし、薬歴の作成、副作用歴やアレルギー歴の収集、複数の病院からの処方による重複投与の防止など「国民の健康な生活を確保」に当たる大事な仕事ですし医薬品適正使用を推進する重要な仕事です。
確かに「調剤薬局の仕事に飽きたてつまらない」と思う傾向はありますが、認定薬剤師や、地域の医療機関と連携して医薬品適正使用を推進する等工夫次第で新たな目標の模索も出来ます。

ドラッグストア
調剤も兼ねているドラックストアもありますが、市販薬専門のドラックストアの薬剤師の仕事はOTC医薬品と言われる市販薬の管理と取り扱いです。その中でも医薬品医療機器等法で規定されている「要指導医薬品」や「一般用医薬品」などの作用の強い医薬品は薬剤師しか取り扱い(販売)ができません。この種のお薬は薬剤師による服薬指導が大切です。その他、お薬相談対応などが仕事になります。

病院薬剤師
病院全体の医薬品管理から、調剤業務・患者への服薬指導・注射調剤業務(昆注)・医薬品情報提供・病棟薬剤業務等など、さらにICTやNST等チーム医療の参画等多岐にわたる仕事で、大学の教育課程で学んだ代表的な「薬剤師らしい」仕事と言えます。
近年病院薬剤師は専門性も高くなりました。長年調剤薬局で働いていた薬剤師で病院勤務を希望する方もいると思います。基本的には調剤薬局の業務と変わりませんが、チーム医療の参画や医師・看護師等と協調して専門性を生かすこと等は調剤薬局では経験することが難しく、また注射剤の取り扱い、抗がん剤の混注などは調剤薬局では未経験だと思います。調剤薬局からの転職については努力することで、スキルアップにつながることはできますが、専門性が高い医療施設ではハードルも高いですね。しかし、調剤薬局からの転職の選択肢としてはが多いと思います。

製薬企業の薬剤師
企業の薬剤師としてはMR(医薬情報担当者)が代表的です。MRは病院や診療所、薬局などを訪問し、医薬品情報の提供や市販後の有害作用の収集等をおこない、適正使用を推進します。さらに自社の製品について使用の推進のため営業的側面もあります。
臨床開発部門では、CRA(臨床開発モニター)や学術・DI(医薬品情報管理)業務、新薬の開発などの業務、その他多くの仕事があります。
調剤薬局から企業への転職は少々ハードルが高いかな?と思います。

学校薬剤師
あまりなじみがありませんが、学校薬剤師は小学校から高校の保健に関わることで生徒の快適な教育環境を守るために大きな役割があります。私も実際にこの仕事に関わったことはありませんが、その内容は学校の薬品類の使用や保管等、健康相談や保健指導、学校環境衛生(採光、照明、換気など)の維持管理に関する指導・助言者などの職務などが義務づけられていると言われています。
学校薬剤師の知人に、この仕事は調剤薬局の薬剤師が兼務している場合もあり転職も可能な職域で、興味がある場合は転職のターゲットも一つと考えるのもありと聞きました。

保健所等の機関で働く薬剤師
保健所に勤務するには、薬剤師の資格の他公務員試験に合格することが必須です。この点が他の薬剤師の仕事とは異なっています。その公務員試験には年齢制限があります。年齢上限は徐々に緩和されていますが、転職の前に受験できるか、さらには合格しなければならない等課題も多いです。
仕事の内容については地域の薬事衛生、飲食店や食品メーカーの食品衛生に関わる指導、試験検査、水道の衛生検査など、調査や検査等多くの仕事があります。現在新型コロナ感染症の影響で業務量は多くなっている傾向です。病院薬剤師のように医薬品を扱うことは殆どありません。

その他
薬剤師の代表的な仕事を記載しましたが、その他にも多くの薬剤師としての専門的な仕事があります。例えば医薬品卸会社の倉庫の管理、化粧品メーカー、麻薬取締官自衛隊等ですが、調剤薬局からの転職は麻薬取締官自衛隊等などは困難だと思います。

それでは今後の薬剤師の仕事の展望について
薬剤師の数は1970年以来増加傾向にあります。数十年後には供給過多になり、就職が難しくなるとの推計もあります。現在薬剤師の業務集計は、調剤薬局に勤務する薬剤師が全体の約50%、その他医薬品の調剤等に従事している病院薬剤師等の合計は全体の80%になります。2020年9月の「医師・薬剤師等」の有効求人倍率は2.01でした。平均的な有効求人倍率は1.03ですから、「医師・薬剤師等」の転職のしやすさは他の職業に比べれば「売り手市場」と言えるでしょう。
一方その推移をみると年々有効求人倍率が下がっています。しかし、個人的な意見ですが、昭和30年代に将来的に医師が過剰になるとの推計がありましたが、現在も一部の都市部以外では医師が不足している状況です。
薬剤師数が増えても実働できる薬剤師は?と考えると過剰になるのはまだまだ先ではないかと思います。しばらくは転職して視野を広げることは可能だと思います。

それでは実際の薬剤師の求人については
薬剤師の求人は病院などが都道府県の薬剤師会や病院薬剤師かのホームページ等に掲載されていますし、ハローワークなどを利用する等の方法があります。しかし、自分の希望する条件に合うか、さらには入職の交渉や職場の比較などをすべて自分で行うのはなかなか手間がかかります。
そこで薬剤師転職サイト(エージェント)の利用を推薦します。エージェントは自分が今後どのような仕事に就きたいかで希望する勤務地や職種、収入、勤務時間、休日、年休取得状況など希望の条件に合った職場を複数紹介してくれます。さらに、希望により履歴書などの記載方法や面接対策のアドバイス受けられて、職場との条件の交渉などのサポートもしっかり受けられるのです。しかし、エージェントの数は多く、各社で得意不得意の分野がありますし、企業の大きさでは持ち駒等に差があります。地域性も加味して「どんな転職をしたいか」「どんな働き方がしたいか」考えて転職する必要があります。

最後に
薬剤師が仕事をさがす場合は、それまでの自分の経験と今後どのような仕事がしたいかなどを考慮して探す必要があります。ダブルワークや資格の取得を目的にアルバイトやパート等を希望する場合もあると思われます。求職の範囲は狭くなる可能性もありますが、レベルアップを目指して薬剤師として働き甲斐がある職種があれば良いですね。